AEROFOILの印象的な光は、どのようにして生まれたんだろう。
気になったりしませんか?
長良杉のベースと和紙から漏れ出る光が印象的なAEROFOIL。
AEROFOILは、セバスチャン・コンラン氏のデザインを基に株式会社オゼキの職人の手によって作られました。
今回は、AEROFOILの開発を担ったオゼキの石川さんに、製作を行う中で感じたことや苦労したことなど、当時の想いをちょこっと聞いてみました。
実現不可能だと考えていたスタンドタイプ
- AERO FOILの話を聞いたとき、最初にどう思いました?
石川さん: 初期のデザイン案を頂いたとき、スタンドタイプ2種類とペンダントタイプ1種類がありました。ぶら下げるだけのペンダントは製作した経験がありましたが、スタンドタイプはシェードをぴんと張った状態で固定しなければいけないし台も自立しなければいけないなど構造的な問題や各種パーツの寸法調整などの課題が多く、難易度が高くなることが予想できました。
自分の力だけではどうしようもないことが明白で、当初は実現不可能だと考えていました。
そもそも、ペンダントタイプとスタンドタイプ、どんな違いがあるのでしょう。
聞いてみると、スタンドタイプの場合は、ペンダントに比べて安全基準が厳しいそうです。転倒せずに使用できる設計でなくてはならないからだそうです。
…当たり前といえば、当たり前のことですね!!
AEROFOILのベースは、なるべく地面と平行な面を増やしている工夫がされているそうです。
問題山積だった長良杉のベースとの戦い
- AEROFOILの1つの特徴は長良杉を使用しているところにあると思います。
『長良杉を使用する』ということで、大変だったことはありますか?
石川さん:薄い木製部品をパズルのように組み合わせて作るスタンドは、パッケージングの都合で分解できるようにしなければなりませんでした。
強度を持たせつつ、使用されるお客さまでも組み立てやすい厚さや溝の幅を考えることに苦労しました。
パーツが出来上がってもわずかな誤差で組み立てられなかったり表面が剥離したり、木材が反ったり割れたり・・・とにかく問題が多く、またそれらの問題をどうすればクリアできるか全く見当が付きませんでした。
石川さん:『長良杉』という素材を使用することはデザイナーであるセバスチャン・コンラン氏の指定で変更することができなかったので何回も図面を修正し、いろいろな工法で試作を繰り返しました。
「スタンドを一体型に変更することができれば…」、「素材を木に限定しなければ…」、解決策が分かっているのに絶対にその方法を採用してはいけないという状況はとても苦しかったです。
職人としてこだわりをもって作ったシェード
― 石川さんが張師としてこだわった部分はありますか?
石川さん:シェードに関して、開口部が非常に狭く、これ以上は物理的に不可能というギリギリのレベルを追求しました。木型の強度的にも製造の手間的にも問題が出る状態でしたが、他の問題があまりにも大きくせめてそのぐらいは実現しようというこだわりが出てしまいました。
シェードの開口部が狭いほど、型の安定感をとることが難しくなります。
型を均等に組み立て…、
張っている途中でゆがまないように…、傾かないように…。
木型の強度との戦いがうまれるそうです。
まさに、職人の技ですね。
デザイナーの想いをお客さまへ届ける難しさ
― デザイナーの商品を製作するということは、デザイナーの想いをお客様へ届ける使命を担う形にもなると思いますが、やってみていかがでしたか?
石川さん:デザイナーであるセバスチャン・コンラン氏の要求をどうやって実現するかという問題が大きかったです。明らかに自分たちで作ることが出来る範囲を超えていて、専門的な知識を持つ他の職人さんにも頼りながらそれらをコントロールして形にしなければならない難しさや大変さを思い知りました。
自分が出来ないことでも知識として身に着けて理解していなければ他の人に指示が出せないし、出来上がったものが正しいのかどうか判断出来ない、改善に向けて次のアイデアを出すことも出来ない、など知識不足に悩むことが非常に多かったです。
しかし、完成したシェードに光が入った時の達成感は非常に大きく、素材や形状からくる独特の光は株式会社オゼキの製品の中でも見たことのないものとなりました。
今回、石川さんのお話を聞いて、AEROFOILの裏には、長良杉のベースと和紙から漏れ出る光を最初から計算しこだわったセバスチャン・コンラン氏とその想いを実現するためにいろいろな苦労をした職人がいたのだなということを感じさせられました。
いろいろな想いをつないで製作されたAEROFOIL。
なんだか、よりAEROFOILのことが好きになりました。
AEROFOILを好きになっていただくきっかけになればいいなと思います。
ご一読いただき、ありがとうございました。
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