あかりや次七

2020.06.09|風習のこと

お盆に提灯を飾るようになったのはいつから?

お盆とは?

「お盆」といえば、
長い休暇を家や旅行先で楽しむ時期であり、
子供や子供家族が故郷へもどる時期であり、
盆踊りなどの年中行事に参加したりする時期です。
そして、
亡くなった方の魂がこの世に戻ってくるときともいわれています。

お盆にご先祖さまを迎える行事が始まった時期は、定かではないようですが、
仏教ではお盆のことを「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、
『盂蘭盆経』というお経がお盆行事の元になっているといわれています。
また、日本には古来から祖霊信仰があり、お盆はご先祖さまの魂が帰ってくる日とされていたそうです。
そのことから、仏教が伝来する以前から、日本ではご先祖さまを迎える行事があったと考えられています。 

ご先祖さまのお迎え

ご先祖さまをどのような方法でお迎えするのかは、宗派・地方の風習によって形式が異なります。
一般的には、13日に迎え火をたき、16日に送り火を焚きます。
各家庭では精霊棚とよばれるご先祖さまをお迎えする場所を準備して、様々なお供えをします。

お盆の行事(※地域によって異なる場合があります。)
・7月1日(8月1日) 釜蓋のついたち。
 よみの国の扉が開く日。精霊が里帰りするため、旅立ちます。提灯を飾り始めます。
・7月7日(8月7日) 仏具やご先祖の霊に供える食器を洗って、準備をする日。
 食器洗いが済んだら、お墓掃除に出かけます。
・7月13日(8月13日) お盆の入り。
 「精霊棚」のお飾りをすませ、お墓参りに出かけます。
  迎え火を焚き、提灯に灯を入れ、ご先祖さまの精霊をお迎えします。
・7月16日(8月16日)お盆のあけ、送り盆、ご先祖さまの霊が帰る日。
  送り火を焚いて、精霊を送り出します。

お盆に提灯を飾る風習

諸説ありますが、お盆に提灯を飾る風習が始まったのは、鎌倉時代といわれています。
京都で精霊をお迎えするために高燈籠(庭先や門口屋根の上に高い竿)を立てて、
その先に提灯を付けて精霊の送迎の目印にしたことがお盆に提灯を飾る風習の始まりと言われています。

江戸時代に入ると、 お盆に提灯が広く用いられるようになりました。
庶民の間にも仏壇やお盆行事が普及し、ローソクが手に入りやすくなった影響のようです。
江戸時代の盆提灯は切子灯篭が多く用いられたようで、その他では簡素な白張提灯が主だったようです。

明治に入って彩色ある優美な岐阜提灯や大内行灯が改良完成されました。
それが、今日の盆提灯の主流につながっています。

現代でも、お盆に切子灯篭や住吉提灯を主流に使う地域もありますが、御所提灯や大内行灯も多く使用されています。
また、近年は住環境の変化に伴い、創作行灯などの提灯を使用される機会も増えています。
時代の変化に伴い、提灯の形は変わりつつありますが、
家族や祖先、大切な人を想う心は今も昔も変わらないように思います。

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